名

赤毛。
赤鬼。
名無し。

物珍しい外見の子供が刀を握り締めて仕官の輩に混じってたら。
皆、名前を訊ねるでもなく「赤毛」と呼んだに違いない。
そのうち「そういや、赤毛の名前は何て言うんだ？」とか気付く奴も出て来るだろうけど。
多分、誰も名前を知りたがらない。
戦場に出て、赤毛の子供が鬼の子だった事に気付かされて。
皆、赤毛に忌みを重ねて「赤鬼」と呼ぶようになる。
誰もが鬼と呼ぶなかで、将監だけが「赤毛」と呼び名を変えずに声を掛ける。
将監が赤鬼と恐れられた子供をそう呼ぶのにきっと違和は無く。
皆、いつの間にか赤毛の子供の呼び名が変わったことに気付きはしない。
呼ばれた当人だけが、本当の名前があったなら、将監には伝えてやれるのに…、とかぼそりと思う。

刀を封印して、髪を黒く染めて。
“名無し”となって。
ああ、これでもまだ、あの男は自分を「赤毛」と呼ぶに違いない。
あの男は、外見を揶揄することも平気でするが、外見だけでない自分を呼んでくれる筈だ。
そう思って苦笑しながら。
ああ、とんでもない。
今の自分を、あの男は呼ぶことなどしないだろう。
今の自分は、きっとあの男には見えないだろう。

赤い髪にも、黒い髪にもうんざりする。
自分は“名無し”だ。
そう片付けるのはとても楽だ。
もう赤毛と呼ばれることはない。それを望んでいたのに、気持ちは楽にならない。

刀の封印を、結ぶ。何度も。
結ぶ。


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なんじゃこりゃー。
久々のポエムでございました(笑)　
ごめん、いきなりこんなの書いて～。　実は突発的なメモです。記事代わりに思いつくままに。
そろそろ５月のイベントのこと考えないとな～。
前回夏コミだから、結構間があったのに。書きたいものまだ決めてないヨ～（苦笑）